2010年以降、日本における外国人労働者の数は右肩上がりで増加しています。その背景にあるのは少子高齢化による労働力の減少です。既に中小企業を中心に企業の人手不足は深刻な社会問題となっており、日本政府は労働力不足への対策として外国人労働者の受け入れ強化を推し進めてきました。
また、グローバル化やインバウンド需要など、企業活動を取り巻く環境の変化も外国人労働者の需要を高めている要因です。今後、より多くの職場で外国人労働者の活躍が見られるようになるでしょう。
今回は日本において外国人労働者が増加している理由を詳しく解説します。
外国人労働者が増加している大きな要因が企業の人手不足です。他にも様々な要因が影響を及ぼしています。ここでは日本で外国人労働者が増加している理由を見ていきましょう。
外国人労働者増加の大きな要因と言えるのが企業の人手不足です。厚生労働省の資料によると、日本全国の有効求人倍率は2013年に1倍を超え、以降も1.2倍~1.3倍の範囲で推移しています。[注1]
これは求職者にとって職に就きやすい状態である一方、企業にとっては採用したい人数よりも求職者が少ない状態であることを示しています。
また、日本では少子高齢化が進んでおり、国内の労働人口の増加は望めません。既に中小企業を始め、配送業や飲食業、サービス業、介護等の業界は慢性的な人手不足に陥っています。外国人労働者は日本の労働問題を解決する存在として期待されているのです。
[注1]厚生労働省:一般職業紹介状況(令和4年5月分)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26279.html
国内の労働人口問題を解決するため、日本政府による外国人労働者の就労支援も積極的に実施されています。2019年には在留資格「特定技能」が新設され、外国人労働者の受け入れが拡大する契機となりました。さらに、留学生や技能実習生が引き続き日本に在留して就職できる仕組みも構築されています。
一方、企業に対しても外国人労働者の採用に助成金を給付するなどの支援策が実施されています。
政府主導の就労支援もあり、2011年からの10年間で外国人労働者の数は3倍近くに増加しました。2021年時点では約172万人の外国人労働者が日本に在留し、働いています。[注2]
[注2]厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和3年10月末現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000887554.pdf
インターネットやIT技術の進歩により、現在では中小企業や小規模企業でも海外との繋がりを持つことは珍しくありません。海外でのサービス展開や現地担当者とのコミュニケーションなど、業務の中で外国語話者が必要なケースが増えていることも外国人労働者増加の要因です。
また、日本国内でもインバウンド需要が増加しており、都心部や観光地を中心に多言語対応の必要性が高まっています。あらゆる業種でグローバル化が進む現代では、外国人労働者の活躍の場はより広がっていくことでしょう。
外国人労働者の増加は、海外から見て日本が魅力的な国であることも影響しています。日本に行きたいと思う外国人が増えているからこそ、外国人労働者も増加しているのです。ここでは外国人労働者から見た日本の魅力を解説します。
日本の治安の良さは世界でもトップクラスであり、都市のインフラも衛生的です。犯罪に巻き込まれる危険が少ないこと、また怪我や病気のリスクが低いことは、長く安全に働きたい外国人にとって非常に魅力的な環境でしょう。
自国より治安が良いことを理由に、日本での就労を希望する外国人労働者もいます。
外国人労働者にとって、日本企業の高い賃金や手厚い福利厚生は大きな魅力です。日本にやってくる外国人労働者の多くはベトナムやフィリピン、もしくはブラジルの出身者です。これらの国は未だ経済発展の途中であり、総じて賃金が低い傾向にあります。家族を養うための出稼ぎ先として、賃金が高く待遇の手厚い日本は高い人気があるのです。
日本は自動車や電子機器など世界的にも高い技術力を持つ産業が多く、スキルや知識を身に付けたい労働者にとっては最適な環境と言えるでしょう。また、日本では多くの企業が外国人の受け入れを行っているため、転職を通じてキャリアアップを目指すこともできます。
日本の伝統的な文化や、アニメ・ゲームを始めとするポップカルチャーは世界的に人気があります。近年では日本のアニメや漫画を楽しむために日本語を学ぶ外国人も少なくありません。自身の趣味が講じて日本での就労を希望する外国人も増えています。
労働人口の減少が懸念される日本において、外国人労働者の受け入れは必要不可欠です。日本の労働環境を維持するため、今後も多くの外国人が日本で就労することになるでしょう。
なお、外国人労働者の採用には様々な課題が生じます。外国人労働者の受け入れをスムーズに進められるよう、早めに準備を進めておきましょう。