外国人労働者が日本で就労するためには日本政府が発行する「在留資格」が必要です。在留資格を持たない外国人労働者を雇用した場合、不法就労とみなされます。また、在留資格には様々な種類があり、それぞれの資格に対応した職種への就業しか認められません。
企業が外国人労働者を採用する場合、在留資格の有無やその種類の確認は必須です。在留資格への理解を深め、適切な方法で外国人労働者を受け入れましょう。
この記事では外国人労働者の就労に必要な在留資格について詳しく解説します。
在留資格は外国人が日本に滞在するための資格であり、日本政府によって滞在が許可されたことを証明する種類です。また、訪日の目的によって取得できる在留資格が異なり、滞在期間中は在留資格の種類に応じて従事可能な活動が制限されます。
なお、在留資格には在留期限があり、在留期限を超えて日本に滞在することはできません。外国人労働者を採用する際は必ず在留資格の有無と、在留期限の確認を実施しましょう。
在留資格と混同されやすい書類に「ビザ(査証)」があります。在留資格は外国人の日本滞在を認める証明書であるのに対し、ビザは外国人の入国に必要な許可証です。ビザは入国と共に失効するため、入国後は在留資格が滞在を許可された証明になります。
なお、在留資格の中でも就労が可能な資格を「就労ビザ」という場合があります。就労ビザは一般的に使用される言葉ではありますが、査証としてのビザとは意味合いが異なる点に注意しましょう。
2022年現在、日本には29種類の在留資格があり、そのうち就労が可能な在留資格は24種類です。在留資格にはそれぞれの資格で就業できる職種に制限があり、資格の範囲から外れた業種に就くことはできません。資格の制限を超えて就労すると「不法就労」に該当します。
不法就労は雇用主も罰則の対象となるため、外国人労働者が所持する在留資格の種類は必ず確認しておきましょう。なお、在留資格は申請により種類の切り替えもできます。
在留資格は在留期限を待たずに取り消しになるケースもあります。先述したように在留資格を失効した外国人は日本に滞在できません。雇用主の不注意により在留資格が失効してしまうケースも考えられるため、失効の要件はしっかり押さえておきましょう。
在留資格が失効する要件のひとつが「1年以上の懲役が科せられる」ことです。プライベートでの犯罪も対象となりますので、しっかりと人柄を見極めて採用活動を行いましょう。
もうひとつの要件は「在留資格に応じた活動に3ヶ月以上従事していない」ことです。
在留資格は事前に申請された活動内容に応じて発行される書類であり、申請とは異なる活動への従事、もしくは一切の活動を行わないということは認められません。外国人労働者を採用する場合は必ず在留資格に応じた職種に就かせるようにしましょう。
外国人労働者が新規で在留資格を取得する際は以下2通りの方法があります。
在留資格の新規取得には1ヶ月~3ヶ月程度の時間を要するため、外国人労働者の採用では原則として雇用主が代理人となって在留資格認定証の交付を申請します。この場合の手続きの流れは以下の通りです。
上記の流れで入国手続きを済ませた場合、入国後すぐに就労させることができます。
在留資格は外国人労働者が日本に滞在するための資格であり、日本で就労するうえで必須の資格です。
また、在留資格には様々な種類があり、種類に応じて日本での活動内容が制限されます。外国人労働者を採用する際は必ず在留資格の内容を確認し、資格に応じた職務に就かせることを心掛けましょう。