日本における外国人労働者は年々その数を増しており、2021年時点では約172万人におよぶ外国人が日本で就労しています。2019年4月に新設された在留資格「特定技能」の取得者も増加が期待されており、今後も日本の外国人労働者は増加の一途を辿るでしょう。
一方、外国人が日本で就労できる業種には在留資格に基づく制限があります。定住者など一部の外国人を除き、外国人労働者は自身の在留資格の枠を超える活動で報酬を得ることはできません。
今回は外国人労働者が就労できる職業の種類と在留資格の関係について解説します。
外国人労働者と言っても、所持している在留資格によってその属性は様々です。ここで外国人労働者の主な種類を紹介します。
高度外国人材は、企業の中枢としての活躍が期待される高度な専門性や技術力を有する外国人労働者です。日本貿易振興機構(ジェトロ)では高度外国人材の基準を以下のように定めています。
日本国内、または海外の大学・大学院卒業同等程度の最終学歴を有していること。
特定技能外国人は、2019年4月に新設された在留資格「特定技能」を取得した外国人労働者です。特定技能は外国人労働者の受け入れ拡大を目的とした在留資格であり、政府が指定する特定産業分野12業種に対応します。
なお、特定技能の取得には日本語試験に加え業種ごとの技能試験の合格が必須です。特定技能外国人は一定水準の日本語と実務スキルを習得した状態で採用できるため、即戦力として期待できます。
留学生アルバイトは「留学」の在留資格によって日本に在留する外国人です。ただし、原則として留学の在留資格には就労許可がありません。
留学の在留資格でアルバイトをするためには地方出入国在留管理局への事前申請が必要です。申請が認められた場合に限り、1週間に28時間以内の範囲でアルバイトが認められます。
技能実習生は、「技能実習」の在留資格により特定の産業で外国人実習生として活動する外国人を指します。
技能実習は海外の希望者を日本に招待し、実務を通じて知識や技術を習得してもらうこと目的とした制度です。実習生は実習期間終了と共に帰国し、日本で学んだ知識やスキルを自国の産業発展に役立てます。 なお、引き続き日本での在留を希望する実習生には、在留資格を特定技能へ切り替える手続きも用意されています
外国人労働者が就労できる業種は在留資格によってその範囲が決められており、在留資格が指定する活動と関係のない業種には就業できません。ここでは外国人労働者の在留資格に応じた職業を紹介します。
自身が所持する資格や知識、技能を活用して就労する外国人には「専門的・技術的分野の在留資格」が適用されます。在留資格の種類とそれぞれに対応する職業は以下の通りです。
在留資格 | 該当する職業の例 |
経営・管理 | 企業等の経営者、管理者 |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師 |
研究 | 政府関連機関や企業の研究者 |
教育 | 小学校、中学校、高等学校等の教師等 |
技術・人文知識・国際業務 | 技術者、エンジニア、通訳、デザイナー等 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 |
介護 | 介護福祉士 |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 |
技能 | 調理師、スポーツ指導者、パイロット、職人等 |
令和4年7月現在、特定技能は政府が選定する特定産業分野12業種で在留資格を発行しています。特定技能の取得には日本語試験と技能試験の合格が必須ですが、高度な専門知識は不要です。
なお、在留資格は業種ごとに発行されるため、その資格に対応した業種以外での就労は認められません。
特定技能の在留資格が適用される12業種は以下の通りです。
令和4年度の外国人技能実習制度では全85職種158作業の工程で実習生の受け入れを実施しています。大まかな内訳は以下の通りです。
技能実習制度は対象職種が多岐に渡るため、詳細については厚生労働省をはじめとした関係省庁の資料を確認しましょう。/p>
[参考]厚生労働省:外国人技能実習制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html
身分に基づく在留資格を所持する外国人には国内の置ける活動制限は設けられていません。日本人と同様に様々な分野で報酬を受けることができます。なお、身分に基づく在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つです。
在留資格は国内における外国人の活動を保証するための書類です。一方で、在留する外国人は在留資格で保証される活動内容とは異なる活動で報酬を得ることは禁止されています。外国人労働者を雇用する際は必ず在留資格と業務内容が適合しているか確認しましょう。